診療放射線技師(以下、技師)の男女比は男性7:女性3で男性の方が多くなっています(出典:「令和3年 賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)))
診療放射線技師の総数 | 約57,930人 |
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男性 | 約44,160人 |
女性 | 約13,770人 |
マンモグラフィ検査が増えたことなどから女性技師の需要が高まっているともいわれていますが、「実際の女性技師の働き方を知りたい!」と思っている学生さんも多いのではないでしょうか?
今回の記事では、現役のワーママ技師が
- 女性は就活で有利?
- 女性ならではの苦労はある?
- 結婚・出産しても働き続けられる?
といった、女子学生さんの疑問にお答えしていきます
技師を目指してみようかな?と考えている高校生やその保護者さんにも有用な情報となっていますので、参考にしていただければ幸いです
こんな人に読んでほしい!
- 技師を目指す女子学生さん
- 技師に興味がある高校生や保護者さん
就活で有利な3つの理由
性別で就活に有利・不利なんてあるの?と思う人もいるかもしれません
しかし、女性は就活で有利といえます
その理由は3つありますので、実体験を交えながらお伝えしていきます
マンモグラフィ検査で活躍できる
1つ目の理由は、マンモグラフィ検査(以下、マンモ)や乳腺エコー・乳腺MRIなど、上半身裸になっていただく必要がある検査で活躍できるからです
「女性技師が重宝される場面」と聞いて、1番に思い浮かぶことだと思います
上記の検査では、乳房を直接技師に見せる必要があり、患者さんの精神的負担はとても大きいです
検査室では、技師と患者さんの2人きりになるケースがほとんどであり、「女性技師であっても抵抗感がある」という患者さんも多いでしょう
「マンモグラフィ検査は、全て女性技師が担当しています」とHPに書いてある病院や女性専用の検診施設なども増えており、女性技師の需要は高いと考えられます
患者さんの心理的負担を減らせる
2つ目の理由は、患者さんの安心感につながるからです
「マンモにはあまり興味がわかなくて…。できればマンモがないところに就職したい」と思っている学生さんも大丈夫です
私は、新卒でマンモもある総合病院に就職しましたが、結婚を機に退職し、現在はマンモのない総合病院で勤務しています
この病院は、私が入職する前は
- 男性技師が定年まで勤務するため欠員がでない
- その結果、30代以上の男性技師のみになってしまった
という状況でした
男性技師のみの場合、困る点としては
- 女性の腹部エコーなど、デリケートな検査も男性技師が実施しなくてはならない
- 下着やズボンなど、更衣の介助が必要なときに看護師さんにお願いしなくてはならない
- (特に若年女性の場合)撮影の際、ポジショニングなど気を遣う
などが挙げられます
採用に関与する技師長クラスの方は、女性技師が対応したほうが、患者さんの負担を減らせるという事実を知っています
これは、マンモに関係なく、技師業務全般に言えることです
そこで、「可能であれば女性技師に来てほしい」ということで私を採用していただきました
女性技師は欠員が出やすい
3つ目の理由は、男性に比べて、定年まで勤務する割合が低いからです
男性技師の場合、定年まで同じ職場で働き続けることが多く、欠員が出にくいようです
しかし、女性技師は結婚・出産を機に退職するケースが多く、欠員が出やすいです
私自身も結婚を機に、新卒で入職した病院を退職しましたし、
結婚で引っ越すため通勤時間が長くなってしまうから退職する
当直がしんどくなってきたから結婚するタイミングで退職する
子どもが生まれるので育児に専念するため退職する
という話も聞いたことがあります
女性技師が退職した場合、新しく採用する技師も女性を希望することが予想できます
「女性技師は結婚・出産を機に退職するケースが多い」ということは、退職後は技師として働くことは難しいの?
と心配になりますよね
でも安心してください。ハローワークでは、非常勤やパートなどの求人も多数みられ、技師を続けることは可能です
後ほど、私が結婚を機に退職してから、ワーママになるまでの過程をご紹介しますので参考にしてください
- マンモグラフィ検査で活躍できる
- 患者さんの心理的負担を減らせる
- 女性技師は欠員が出やすい
女性技師が苦労したこと2選
技師1年目できついと感じたことは、以前別記事でまとめましたが、今回は「女性技師」に焦点を当てて苦労したことを2点挙げます
マンモは難しい
1点目は、マンモ特有の難しさがあるということです
「女性はマンモで活躍できる」と言いましたが、マンモは非常にデリケートな検査であり、患者さんの立場にたった接遇が求められます
上半身裸になるのは誰でも抵抗感があり、中には協力的でない患者さんもいます
また、CTやMRIと異なり、自分のポジショニングによって得られる画像が変わってくるので、責任を強く感じます
ポジショニングスキルが読影結果にも影響するので、撮影技術を高められるよう、日々の努力・振り返りが必要です
力仕事も多い
2点目は、想像以上に力仕事も多いということです
働く前は、「患者さんに声掛けすれば動いてもらえるし、機械の操作がメインかな」と思っていました
しかし、自分では移動できず、介助が必要な患者さんも多いため、力が必要です
また、撮影室の扉は遮蔽のため鉛が埋め込まれており、重たいです
管球も女性にとっては重たく、動かすのに力が必要です
腰を痛めてしまう可能性も高いので、注意してほしいと思います
ワーママになるまで
最後に、私が結婚を機に退職してから、ワーママになるまでの過程をご紹介します
退職後出産し、
- 子どもが1歳半のとき~二人目妊娠まで
整形外科クリニック(一般撮影・MRI・骨塩定量)で月4日ほどのスポット勤務 - 二人目が1歳になったとき~1年10か月間
診療所(一般撮影・骨塩定量)で週3日、午前中のみのパート勤務 - 診療所を退職してから現在
総合病院(一般撮影・CT・MRI・骨塩定量)で週5日フルタイム勤務
と、3か所でそれぞれ異なる雇用形態で勤務しています
いずれもハローワークを経由し、ライフステージに合わせた働き方を選択することができました
まとめ:活躍しよう!
患者さんや看護師さんから「女性の技師さんもいるんだね」と言われることもあり、女性技師の認知度はまだまだ低いのかもしれません
しかし、驚かれると同時に、「女性がいてくれたら安心だね」と言われることも多く、自分の存在が安心感につながっていると思うと嬉しく思います
男性が多く、大変なこともありますが、女性も活躍できる職業だと思います