診療放射線技師を目指して勉強してるけど、実際の技師の仕事ってどんな感じなの?
当直ってどんな感じ?寝れないほど忙しいの?
自分でもやっていけるかな?
技師を目指している学生さん・入職したての新人技師さんの中には、こんな疑問や不安を持っている人も多いのではないでしょうか
この記事では、学生さんや新人技師さんに向けて、私が経験した「1年目技師のリアル」・「当時を振り返って思うこと」を紹介したいと思います
こんな人に読んでほしい!
- 診療放射線技師の仕事内容を知りたい人
- 当直業務が不安な人
- 技師としてやっていけるか不安な人
病院の規模
新卒で就職した病院は、以下のような規模でした
病院の規模によって、1日の撮影件数・救急車の受け入れ件数などに違いがあり、忙しさも変わってきますので、一例としてご覧ください
- 3次救急救命センター ドクターヘリ対応
救命センター専用一般撮影装置・CT・MRI 各1台 - 病床数 約500床
- 職員数 約950人
- 診療放射線技師数 約20人
- 一般撮影装置 3台・ポータブル 2台
CT・MRI 各1台
マンモグラフィ・透視・US・血管造影・RI・放射線治療・オペ室イメージ・骨塩定量
まずは、一般撮影
入職直後は、一般撮影をマスターすることから始まりました
最初は先輩技師が、説明しながらポジショニングを行ってくれるので、要点をメモします
ポジショニングや入射点・入射角度・撮影条件などを頭にたたきこみます
ある程度時間がたつと、「そろそろポジショニングしてみようか」となり、先輩技師が見守る中、実践します
最初のころは、真正面にしたつもりでも斜位になっていたり、入射角度をど忘れしてしまったり、ネックレスなどの障害陰影となるものを外してもらうのを忘れてしまったりと、なかなかうまく撮影できませんでした
また、撮影した画像を見ても、その画像でOKなのか・再撮影しなければならないのか、判断ができませんでした
初心者なので当たり前のことではあるのですが、当時は、うまく撮影できずに落ち込みました
しかし、何度も繰り返すうちに感覚をつかみ、スムーズにポジショニングできるようになりました
失敗することで、「自分がミスしやすいポイント」も把握することができ、改善していくことができました
- 最初は失敗して当たり前。失敗することで、注意点に気付くことができる!
- 空き時間に、先輩たちが撮影した画像を見てみよう!OK or 再撮影の判断基準が作れるはず
慣れてきたらポータブル
一般撮影の次は、ポータブルの研修でした
ポータブルでは、NICUに入院している新生児や、外科の手術後で点滴がたくさんある患者さん・ICUに入院している呼吸器をつけている患者さんなどの撮影を行います
患者さんの体位を変えるときには、点滴が抜けたり呼吸状態が悪くなったりしないように注意が必要なため、看護師さんの協力が必要不可欠です
看護師さんに声をかけて手伝ってもらうのですが、看護師さんも忙しく、お願いするのも申し訳なく感じていました
しかし、技師だけで撮影するのは医療事故につながる恐れもあり、絶対に避けなければなりません
「忙しそうな看護師さんに声をかける」ことは、ハードルが高く、最初のうちはポータブルに苦手意識がありました
勇気をもって看護師さんに声かけし、手伝ってもらった後は「ありがとうございました!助かりました!」と、感謝を伝えることは忘れないようにしました
また、もし嫌そうな対応をされてしまっても「看護師さんも忙しいし、しかたない。自分が嫌われているわけじゃない」と、気持ちを切り替えるようにしました
- 看護師さんの名前を覚えて、「○○さん、ありがとうございました!」と言ってみよう!顔見知りを増やして、お願いしやすい環境を自分で作ろう
- 頼みにくくても、ひとりで撮影するのは絶対ダメ!
アウェイに挑む!オペ室、術中透視
ポータブルと並行して、オペ室での業務の研修も始まりました
オペ室での技師の仕事は、
- 術後撮影
ガーゼなどの異物が体内に残っていないか・チューブ位置の確認。
整形のオペの場合、骨の状態の確認。などが目的 - 術中透視(以下、イメージ)
主に整形のオペ時に使う。骨折部位の確認や、オペ中に使用する金属の位置確認などが目的。
の2種類あります
術後撮影では、ポータブル同様、看護師さんや医師に手伝ってもらう必要があるのですが、位置を修正するために手伝ってほしくても、最初のうちはなかなか声かけすることができませんでした
看護師さんや医師が大勢いる中に、技師は自分ひとりだったので、アウェイに感じてつらいときもありました
イメージは、オペを急ぐ医師のスピードについていくことができず、「見せて!位置合わせて!」など怒られてしまう場面も多くありました
このときも自分ひとりなので、先輩に助けを求めることもできず、苦戦しました
しかし、オペの手順を把握してしまえば、医師が透視を求めるタイミングや見せるべき部位がわかるようになるので、少しずつ余裕をもてるようになりました
- アウェイに感じて焦ることもあるけど、落ち着いて確実な仕事をしよう!
- オペの手順を先輩に教えてもらって、イメトレしておこう!
当直に向けて!救命センター
一般撮影に慣れたころ(2か月ほど経ったころ)、当直業務は入職半年後から、と決まっていたので、当直デビューに向けて救命センター業務の研修が始まりました
当直するには、
- 一般撮影
- CT(頭部血管造影を除く)
- 頭部MRI
がひとりで行えるようになる必要があります
CTは、FOVやMPR作成時のスライス厚などルールが多く、メモ帳を見ながら行っていました
中には、「あとどれぐらいかかる?」と聞きに来る医師もおり、「はやく、正確に行わなければ!」と常に緊張していました
また、造影検査では、やり直しができないプレッシャーがありました
MRIは、頭部以外は呼び出し対応となっていたので、覚えることは比較的少なかったです
救命センターは、交通外傷などの重症患者さんが来ることもあり、ひとりでパニックにならずに対応できるのか、不安でした
救命センターでは、教科書的なポジショニングができない患者さんも多く、柔軟な対応が必要となり、先輩の技を盗むチャンスでした
- 救命センターではスピードを求められる!でも、焦らずひとつひとつ行おう
- ひとりでの当直業務が始まる前に、応用的なポジショニングを習得しよう!
いよいよ当直
上記の業務は3か月ほどで独り立ちし、入職して半年がたった10月に当直デビューしました
「当直はどれぐらい忙しいのか?」ですが、「日によります!」
17時から翌8時半までが当直帯と呼ばれる時間帯でしたが、17時から21時ごろまで検査が続くこともありました
そして、遅い夜ご飯を食べているとまた検査に呼ばれ、気づいたら0時近く、ということもありました
0時を過ぎて、落ち着いたと思い当直室で寝ていると、また呼ばれて飛び起きる、ということもありました
このように、寝た気がしないほど忙しい日もあれば、あまり呼ばれず、電話が鳴っていることに気付かず寝続けてしまったのかな、と心配になるほど連続して眠れる日もありました
最初のころは特にですが、当直室に寝に行っても、「いつ呼ばれるかな?ちゃんと電話に気付けるかな?」と不安で眠りが浅くなり、体力的にも精神的にもきつかったです
どうしてもわからないことは先輩に電話して教えてもらうこともできましたが、基本的には自分ひとりで対応しなくてはならず、常に緊張していたのを思い出します
当直明けの日は12時半で帰れますが、家に帰るとすぐに寝ていました
- 忙しい日と、そうでない日の差が激しい!
- 落ち着いてる日の「今日落ち着いてますね」は禁句!この言葉をきっかけに忙しくなる
まとめ:慣れてしまえば大丈夫!
技師1年目に覚えた業務は、「一般撮影・ポータブル・オペ室・CT・頭部MRI」でした
最初はたくさん失敗しますし、覚えることも多く、毎日家と職場の往復で終わってしまうと思います
つらくて、「もうやめたい。診療放射線技師を選んだの間違いだったかな」と思うかもしれません
でも、大丈夫です。私も、最初は毎日しんどくて逃げ出したいと思っていましたが、今は自信を持って業務を行っています
検査件数が多すぎてしんどい、と思うことはありますが、仕事が覚えられなくてしんどい、と思うことはなくなりました
慣れないうちはしんどいですが、みんなそこを乗り越えて独り立ちしていきます
この記事では「1年目のリアル」をお伝えしたくて、自分がしんどかったことを中心に書きましたが、慣れてしまえば大丈夫です!
もしくじけそうになったら、コメントください!みなさんを応援しています!!